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高級住宅街「成城」のお金持ちなローカルルール「成城憲章」

高級住宅街 成城

東京都世田谷区、成城。

小田急線の成城学園前駅からほどちかいこの一帯は、日本有数の高級住宅街として知られています。

・・・

しかしなぜ?

調べてみると、どうやら自然発生的に高級住宅街になっているわけではないようです。

また実際に行ってみたところ、細かいところから「お金持ち感」を感じることができました。

そこで今回は

  • 成城はなぜ高級住宅街なのか?
  • 実際に通ってみた感想は?

について、書いていきたいと思います。

世田谷区 成城は日本屈指の高級住宅街

世田谷区 成城

出典:Google Map

世田谷区のいち地域である成城。

成城学園(中高大)と小田急線の成城学園前駅を中心として南北帯状に連なるこの一帯は、東京23区内では松涛や田園調布に並ぶ高級住宅街として知られています。

なかでも成城学園前駅の北側、駅徒歩3分圏内に位置する成城6丁目は、「東京土地のグランプリ2012─2013版」に掲載された最高級住宅地Top30において南麻布、田園調布に次いで第3位を獲得しています。

1位・南麻布4丁目(港区) 広尾駅 2位・田園調布3丁目(大田区) 田園調布駅 3位・成城6丁目(世田谷区) 成城学園前駅 4位・広尾2丁目(渋谷区) 恵比寿駅 5位・山手町(横浜市中区) 元町・中華街駅

(出典:e-mansion.co.jp

 

また成城学園前駅の周囲には成城コルティという複合商業施設のほか、

といったひとつ上のクラスのお店が集まり、高級住宅街の雰囲気に華をそえています。

世田谷区 成城が高級住宅街たる理由

そんな成城の街が高級住宅街であるのには理由があります。

単に地価が高めというだけでなく、高級住宅地になるようなローカルルールが定められているからです。

土地の値段は突出して高いわけではない

公示情報にもとづく全国の地価データを扱うこちらのサイトによると、成城エリアの地価は全国平均の4倍ほど。(2016-11-24現在)

  • 1平米あたり地価:66万5000円
  • 坪単価:219万8347円

一方、東京全体の平均は1平米あたり86万円、世田谷区の平均で1平米あたり60万円です。

そのため成城の地価自体は突出して高いわけではありません。

東京平均が高くなっている理由は、一部の超高価格の土地(銀座1丁目の1平米2186万円など)が数字を引っ張っているからです

土地や建物の広さや用途が「成城憲章」でルール化されている

しかし成城と他の地域が決定的に違うのが、土地や建物の広さや用途に関する細かなルールの存在です。

成城地域には、成城自治会定めた「成城憲章」というガイドラインがあります。

参考 成城憲章(PDF)

成城憲章は、良好な住環境を守るための住民の総意として平成14年12月11日に制定されました。

法的拘束力はないものの、「四、建て主や事業者への要請」に

成城憲章の内容に著しく抵触する建築物、工作物、駐車場については、世田谷区の協力を要請しつつ、建主や事業者に対して改善措置を求めていきます

とあるため、事実上のローカルルールとして機能しています。

適用対象は冒頭に画像で紹介した「成城」地域に加え、「砧」地域の一部も含まれています。

お金持ちなローカルルール「成城憲章」の中身

それでは実際に成城憲章の「三、成城での建築や開発に伴って遵守すべき事項」をひもといてみましょう。

土地は250平米以上を目指し、最低125平米は確保すること

1.低層住宅地の保全 ①(前略)建築物の高さの規定の10m制限の緩和は差し控えてください。 2.敷地の細分化の制限 ①(前略)成城憲章制定時の成城の平均的な敷地規模である250㎡以上の確保を目指してください。 ②(前略)やむを得ず細分化する場合は、平均規模の半分の125㎡以上を確保することとします。 3.生け垣や樹木など敷地内の緑の保全 ②(前略)住宅地に置いては最低でも敷地面積の20%以上の緑を確保してください。

努力目標で250平米、少なくとも125平米の土地を確保し、さらにその20%以上は庭にせよと。

ちなみに

  • 「ペンシルハウス」と揶揄される狭小住宅の土地面積がだいたい40平米
  • 23区内の平均的なファミリー向けマンション(2〜3LDK)でだいたい70平米

ですから、世田谷区内というロケーションを考えるとかなり高いハードルです。

ちなみに壁面緑化や屋上緑化は緑地面積に算入できません。

路面から50センチは建物を建てずに緑化エリアとすること

7.街並み景観や美観への配慮 ③建築物と一体になった塀や門扉は、道路境界線から50㎝を目安として壁面後退を行い道路に接する部分の緑化を進めてください。

道路に面した部分は幅50cmの緑化エリア帯を確保しなければなりません。

土地のはじっこギリギリまで家のカベにすることで家屋面積を最大化、なんてことは許されないようです。

この緑化帯を先ほどの「20%庭」に算入できるかは明記されていません。

集合住宅は一戸125平米を確保、ワンルームマンションは禁止

集合住宅についても言及されています。

5.周辺環境に影響の大きい集合住宅の制限 ①(前略)長屋建て住宅の建設は、住戸数4戸以上または路地状部分を除く敷地面積が1住戸あたり125㎡未満のものは、差し控えてください。 ②(前略)短期滞在型アパート及び管理人不在のワンルームマンションなどの建設は、近隣とのトラブルを発生しがちなので差し控えてください。

長屋建て住宅、つまり共有部分が外壁のみのテラスハウスについては125平米未満はNG。

そしてウィークリーマンションやワンルームマンションは近隣トラブル回避のため禁止。

また「1.低層住宅地の保全」にて高さ10mという上限が定められているため、ワンフロア125平米で10階建て的なズルは許されません。

そもそも4戸以上の集合住宅は禁止されています。

高級住宅街 成城に家を建てるための経済的条件

では高級住宅街 成城に家を持つにはどのくらいのお金が必要なのでしょうか。

成城憲章に定められている最低条件である125平米の土地に一軒家を建てるという条件で概算すると・・・

  • 土地だけで8250万出せる人
  • 家屋の建築費用が出せる人(2000万くらい?)
  • 毎年100万円近い固定資産税が払える人
  • 家屋や緑化部分の維持費用が出せる人(年50万くらい?)

つまりローンを含めて1億の初期費用に加え、家に関するメンテ費用で少なくとも年間150万は出せる人じゃないと無理、ということになります。

もちろん生活費や教育費その他もろもろは別で必要になります。

このくらいリッチな人しか住んではいけない。そういうルールになっているからこそ、成城は高級住宅街になっているんです。

成城学園前で感じたお金持ちの空気

住むためにお金がかかるのはいいとして、実際住んでいる人はどうなのか?

実は先日まで成城学園前に行く用事が多かったため何度も街を歩いていたんですが・・・

はしばしでリッチな空気を感じては「ほぇ〜」となっていました。

そのエピソードの一部を紹介します。

女子中学生がMacBook Proでレポートを書いている

これはビビった。

女子中学生風の学生服の子がカフェで隣に座ってきたんです。たぶん成城学園の子だと思います。

イスに置いた黒い大きなリュック。そこから出てきたのはなんと、MacBook Pro

サイズ的におそらくこれ。お値段12万円くらいだそう。ちなみにぼくのパソコンは3万円です。

80歳くらいのおじいちゃんがMacBook Airを使っている

別の日、別のカフェに入ってみたときのこと。

大テーブルの正面に80歳くらいのジェントルメンとそのムスメさん?が座りました。

おじいちゃんがゆったりした手つきで手提げカバンから取り出すは、なんとMacBook Air

ムスメさんとの会話の内容からして、MBAは辞書代わりに使っている模様。

本を片手に、わからかった言葉をSiriに聞いているんでしょうか。タッチパッドの操作も早かった。

電子辞書じゃなくてMBAかよ・・・と思うと同時に、80歳になって新しいもの好きという姿勢はぜひ見習いたい。

ちなみにその隣では、なにかのレッスン帰りのマダムがハンドバッグからXperiaタブレットを取り出していました。なんだこの街は。

サークル帰りの大学生が友人に万札をポンと渡す

おそらく成城大学の学生さんなのでしょう。

「お前さあ、車で来てるんだろ」

「そうだけど」

「送ってもらったし駐車場代出すよ、ほら(1万円札)」

「お、わりい」

どこに遊びに行ったのかな?

大学生にとって1万円って相当な額のはずなんですけど・・・。

まとめ:成城はなるべくして高級住宅街になった

というわけで、成城は高級住宅街になるべくしてなっているし、実際にいる人もリッチだったよというお話でした。

どうやら高級住宅街の代名詞である田園調布にも成城憲章と似たルールがあるようです。

こちらは土地は165平米以上確保、道路境界から塀までのエリア幅は1m以上など、成城憲章よりさらに厳しいものだそう。

どこの高級住宅街にもお金持ちなローカルルールがあるんですね。