企業の論理、部署の論理、個人の論理による自縄自縛の一例
仕事でプロジェクトを立ち上げる際に必ず決めるのが、意思決定のフレームです。
誰が何をどの範囲で決める権限を持つのか。責任分担、役割定義、RACIと呼んだようがしっくり来る人もいるかもしれません。
しかし、企業・部署・個人の論理が先行してしまい意思決定スピードが異常なまでに遅い状態に出会いましたので、そのお話をします。
某大企業A社のプロジェクト
A社は誰もが知っている大企業。就活人気ランキングでも上位に食い込む有名企業です。
A社のとある部門の支援プロジェクトが立ち上がることとなりました。目的はとあるサービスのクイックなPOCです。
ぼくはプロジェクトリーダーの立場で支援に入ることとなりました。
「組織図とコミュニケーションプランを作るな」
プロジェクトの立ち上げの際は、背景や目的、アウトカムや成果物、アプローチ、全体作業計画に加えて必ず組織図とコミュニケーションプランを作ります。’
意思決定はものごとを進めるためのエンジンだからです。
にもかかわらず、プロジェクトのたてつけを責任者と話した際、驚くべきことを言われました。
「組織図とコミュニケーションプランを作らないでほしい」
何も決まらないじゃないか
驚きました。意思決定のフレームワークがないとものごとを決めるのに非常に時間がかかります。
決まるのが遅ければものごとは遅れ、プロジェクトは遅延し、最悪成果は達成できません。
どうにか食い下がってみたものの結局は組織図とコミュニケーションプランなしでプロジェクトが走り出すことになりました。
結局、都度関係部署に出向いて個別に意見を聞きつつ、「なんとなくこういう方向性ですかね」と検討をまとめてなんとか形にしました。
しかし結局、プロジェクトは遅れに遅れてしまいました。(事前に遅延リスクを口酸っぱく言っていたのでクレームにはなりませんでしたが……)
企業・組織・個人の論理による自縄自縛
とはいえ、もともと目指していた成果が達成できなかったのは確か。
あとあと漏れ聞こえてきた話によると、当の責任者は「自分のコントローラブルな範囲のみで話を進めたい」という意図があったそう。
そういうたてつけにしなければ、そもそも話が全く進まなくなる可能性があった、と。
たしかに、直近走り出すならそれでもいいかもしれません。
しかしフタを開けてみると、他部署との調整やタイムリーな意思決定がそもそもできない状態に陥っていた。
その点を考えると、彼は企業・組織・個人の論理で縛られて身動きが取れないだけだったのかな、とも。
まとめ
本来の目的を達成するためには、必要な意思決定をタイムリーに行うことが必須です。
そのためには企業の組織構造や役割分担を超えた「プロジェクト型」の動き方をする必要があります。
しかしあまりに企業の組織構造が縦割りすぎると、横串の活動が進まない(マインド的に進められない)状態に陥るのです。
縦割りの弊害をまざまざと感じた経験でした。
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